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先崎 達也; 荒井 陽一; 矢野 公彦; 佐藤 大輔; 多田 康平; 小木 浩通*; 川野邊 崇之*; 大野 真平; 中村 雅弘; 北脇 慎一; et al.
JAEA-Testing 2022-001, 28 Pages, 2022/05
核燃料サイクル工学研究所B棟における試験、分析の実施により発生し、長期間グローブボックス内に保管していた核燃料物質について、当該施設の廃止措置の決定に伴い、高レベル放射性物質研究施設(CPF)の貯蔵庫においてポリ塩化ビニル製の袋(PVCバッグ)で密封して保管していた。CPF安全作業基準に基づく貯蔵物の定期点検においてPVCバッグが徐々に膨らむ状況が確認されたことから、当該試料中から放射線分解によると思われる何らかのガスが発生していると考えられた。ガスが滞留した状態で放置すると、PVCバッグの破裂・破損に繋がるため、ガスが発生しない状態に安定化する必要があると考えた。安定化処理までの処理フローを確立するため、当該核燃料物質の性状を調査した。また、その結果から模擬物質を選定してモックアップ試験を実施した。性状調査においては放射能分析や成分分析、熱分析を実施した。放射性物質濃度及び組成を明らかにするため、線スペクトロメトリーによる定性分析及び試料溶解による成分分析を実施した。次に、加熱処理による発熱反応を確認するため、酸素をコントロールした条件下で熱分析を実施した。熱分析の結果から有機物含有核燃料物質の組成を推定し、700Cの熱処理により安定化が可能と判断できたことから、全量を熱処理し安定化処理作業を完了した。核燃料物質の熱処理においては、まずは少量の試料により安全性を確認した後、処理規模をスケールアップした。熱分解処理後の重量減少量の測定により、核燃料物質に混合する有機物が完全に分解できたことを確認した。安定化処理後の核燃料物質はSUS製貯蔵容器に収納してバッグアウトし、CPFの貯蔵庫に貯蔵することで一連の安定化処理作業を完了した。今後の廃止措置においても、性状不明な核燃料物質の安定化処理が必要なケースが想定されることから、安定化処理において得られた知見について報告書にまとめる。
江川 博明*
PNC TJ6614 93-001, 32 Pages, 1993/03
高品位の可採ウラン量は限られているので、低品位ウラン鉱石資源の経済性、環境問題を考慮した処理プロセス及び廃水処理に係る技術の開発は重要な研究課題である。本研究はその一展開として、低品位ウラン鉱石を酸化雰囲気で硫酸法により加圧浸出して得られた浸出液からのウランの選択的分離・回収プロセスの開発を目的とする。前記浸出液は強酸性であり、ウランの他に多量のニッケル、ヒ素ならびに少量のモリブデン、鉄、アルミニウムなどを含んでいる。昨年度の研究成果を基に、本年度はホスホン酸基を有するキレート樹脂(RCSP)によるウランの分離・精製技術の確立を目的として詳細な検討を行った。また、ホスホン酸基と同様な化学的特性を有する新規なリン酸型樹脂(RGP)の合成を行って検討した。さらに、昨年度検討することができなかった陰イオン交換樹脂及びアルカリ添加沈澱法によるウランと他金属イオンとの分離についても検討した。RCSP、RGPを用いて、カラム操作によりウランの他金属からの分離を検討した結果、RCSP、RGPに浸出液中のヒ素、ニッケルは全く吸着されず、モリブデンは強く吸着された。鉄、アルミニウムは若干量吸着されるが、アルミニウムはより高選択的な金属(例えばウラン)により置換溶出されることが判った。RCSPとRGPではRCSPがより高い破過容量を示すことが認められた。次に、樹脂に吸着されたウランの溶離・回収について検討した。炭酸ナトリウム通液時の二酸化炭素ガス発生を抑制する目的で、まず1M水酸化ナトリウムで樹脂中の水素イオンを中和した後に、0.25M炭酸ナトリウムの通液を行った結果、ウランの回収率はRCSPで69.2%、RGPで72.1%であった。これは、水酸化ナトリウムを通液することでウランは樹脂内部で水酸化ウラニルとして沈着し、炭酸ナトリウムによる溶離・回収が困難になったためと考えられる。次に、水酸化ナトリウム通液を行わず、0.25M炭酸ナトリウムを樹脂容積の5倍量加えカラム中で振りまぜて、水素イオンを中和し、発生する炭酸ガスを除去した後、空間速度(SV)3h-1で吸引し、ひきつづき0.25M炭酸ナトリウム15倍量を通液してウランの溶離を試みた結果、ウランは100%回収できることが明らかになった。モリブデンは炭酸ナトリウム通液初期の段階でほぼ100%溶離(ウランと共存している)することが判っ
江川 博明*
PNC TJ6614 92-001, 20 Pages, 1992/03
カナダ産ウラン鉱石酸浸出液中のウランを分離・回収するプロセスの開発を目的として、大過剰のニッケル及びヒ素の共存下においてウランを選択的に吸着するキレート樹脂の開発を行った。前記酸浸出液の液性等を考慮し、本研究室における従来の研究成果を基に、巨大網状構造(MR型)を有するスチレン-ジビニルベンゼン球状共重合体(RS)にホスフィン酸基およびホスホン酸基を導入したキレート樹脂を合成した。ホスフィン酸基を有する樹脂RSPはRSを無水塩化アルミニウム存在下三塩化リンと反応させ加水分解して合成し、ホスホン酸基を持つ樹脂RSPOはRSPのホスフィン酸基を硝酸で酸化して合成した。またRSにメチレン基を介してホスホン酸基が結合した構造の樹脂RCSPは、RSをクロロメチル化したのち、無水塩化アルミニウム存在下三塩化リンと反応させ加水分解して合成した。これらの樹脂を充填したカラムに、カナダ産ウラン鉱石酸浸出液を通液した場合、ウランとモリブデンは各樹脂に強く吸着されるがニッケルとヒ素は殆ど吸着されないことが判った。すなわち、酸性度の調製など特別な前処理なしで、カラムへの通液のみによりウランをニッケルとヒ素から分離可能である。ウランの破過吸着容量はRSPRSPORCSPの順に増大した。また吸着されたウランとモリブデンの分離も容易である。1M水酸化ナトリウム溶液を通液すれば、モリブデンのみが迅速かつ定量的に溶離される。一方、ウランは0.2M炭酸ナトリウム溶液または1M塩酸溶液で溶離可能である。しかしこの条件ではまだウランの回収が定量的ではないので、最適溶離条件の探索が必要である。比較の目的で、代表的な強酸性陽イオン交換樹脂SP120(MR型)及びSK104(ゲル型)による同様の検討を行ったが、ウランの選択的分離は不可能であった。 以上本年度は、本研究で開発したキレート樹脂、特にRCSPがカナダ産ウラン鉱石酸浸出液中ウランの高選択的分離・回収に有効に利用できることが明かになった。
松鶴 秀夫; 和達 嘉樹
日本化学会誌, 1974(4), p.617 - 621, 1974/04
極低濃度プルトニウム(IV)(1.510mol/l)のキレート樹脂DowexA-1へのイオン交換吸着について、平衡論的,速度論的検討を一定容積系で行なった。
松鶴 秀夫; 和達 嘉樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 10(9), p.551 - 555, 1973/09
キレート樹脂(官能基:イミノニ酢酸)DowexA-1による水溶液からのCoおよびZnの除去を、pH、添加ナトリウム塩濃度および流速の関数として、カラム法で調べた。その結果、CoおよびZnの除染係数、DFは、pH3.5-5.0の範囲でpHの増加に伴なって増し、それ以上のpH領域では減少する。またナトリウム塩濃度0.1~1.0Nの範囲では、DFは塩濃度の増加に従って減少するが、塩濃度1.0N以上では、DFは塩濃度に依存しない。さらに、流速(Space velocity)16~160hrの範囲で、DFは流速の影響をほとんど受けない。樹脂の再生では、樹脂容積の3倍量の再生溶液、0.1MEDTAもしくは0.1MNTAによって、樹脂相中のCo或はZnが約99.9%除去された。
松鶴 秀夫; 和達 嘉樹
日本化学会誌, 1973(4), p.643 - 647, 1973/04
放射性廃棄液をイオン交換樹脂により処理する際に重要な因子である金属イオンの樹脂への収着速度を一定容積系で求めた。その結果、Co(II)の収着速度はイオン強度、樹脂の粒度、および反応温度に依存し、イオン強度0.001~0.01の範囲では、反応の律速段階はfilm diffusionであるが、イオン強度0.05~0.1の範囲では、particle diffusionが律速段階であることが明らかとなった。一方、Ce(III)の収着速度はイオン強度および樹脂の粒度に依存せず、擬一次反応速度式に従う。畢竟、この反応の律速段階はCe(III)と官能基のイミノジ酢酸とのキレート形成反応であると見倣せる。
和達 嘉樹; 松鶴 秀夫
第21回高分子夏季大学講演要旨集, p.99 - 104, 1973/00
キレート樹脂はキレート形成能を有する官能基を持つイオン交換樹脂で、金属イオンなどの分離、濃縮を行なう上で近年注目されてきた。キレート樹脂における金属イオンのイオン交換吸着は、従来のイオン交換樹脂と異なり、官能基とのキレート形成反応によるものである。キレート樹脂についての構造論的、平衡論的、および速度論的研究は多くなされてきている。本テキストは、これらの報告とキレート樹脂の物理化学的性質、およびその反応例について記したものである。
福田 裕平; 荒井 陽一; 菅沼 隆; 比内 浩; 佐野 雄一; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所の多核種除去設備から発生する汚染水処理二次廃棄物の処理・処分方法を検討するために、放射能分析を行う必要がある。放射能および放射能分析を行うためには、分析前処理として二次廃棄物の溶液化が必須となる。そのため、多核種除去設備で使用されている吸着材の一種であるキレート樹脂を対象に、キレート樹脂の除去対象元素(Co)等を吸着させた模擬廃棄物を調製し、加熱処理-酸溶解法および溶離法の2種類の分析前処理(溶液化)方法について、適用性を検討した。加熱処理-酸溶解法では、Coはほぼ回収することができたが、Ruは揮発によって回収率が低くなる結果となった。溶離法では、模擬廃棄物に吸着させた4元素をおおよそ回収することができた。加熱処理-酸溶解法、溶離法どちらの方法についてもRu以外の元素については適用性を確認することができた。
渡邊 隆広; 國分 陽子; 村上 裕晃; 岩月 輝希
no journal, ,
地下水やボーリングコア試料中の希土類元素(REEs: Rare Earth Elements)の分布を明らかにすることにより、物質の供給源や酸化還元環境の変遷に関する情報を得ることができる。しかし、REEsの存在量は少ないことに加え、バリウム等の夾雑物による干渉のため定量分析が困難となるケースが多い。本研究では、キレート樹脂を用いて、天然水中のREEs分析手法の改良を行った。模擬試料として、混合した標準溶液、天然試料として河川水、および地下水を用いた。REEs濃縮のため、日立ハイテクフィールディング社製Nobias Chelate PA1キレートカラムを用いた。試料中の各元素濃度をICP質量分析計(Agilent 7700)により測定した。混合標準試料のキレート濃縮試験では、REEs、ウラン、モリブデン等で約90%以上の回収率を得ることができた。また、妨害元素であるバリウムに加え、ヒ素, ストロンチウムを99%以上除去することができた。比較的REEs濃度の高い湧水試料では、キレート処理をしない条件(ユーロピウム測定についてはバリウム干渉補正法を適用)で得られた希土類元素パターンと、サンプリング現場でNobias Chelate PA1による固相抽出法で回収した試料の測定結果とがよく一致した。
木田 福香*; 中村 文也*; 新井 剛*; 松島 怜達; 齋藤 恭央
no journal, ,
本研究ではNa高含有放射性廃液中のNaとその他核種の分離に適した吸着材の開発を行った。本研究で開発した複合型IDA樹脂(SIDAR)は、Na高含有溶液から選択的に目的元素を吸着できることが示された。